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腹部のヘルニア

ヘルニアとは

臓器または組織が、本来存在する部位から先天性(生まれつき)もしくは後天性(加齢による変化)にできた間隙(あな)を通って脱出する状態です。

腹部のヘルニアの種類

  1.  鼠径部ヘルニア
  2.  臍ヘルニア
  3.  腹壁瘢痕ヘルニア

鼠径ヘルニアとは

足の付け根あたり(鼠径部)が膨らむ病気です。
膨らみは、大きくなったり小さくなったりします。
立っている時やお腹に力を入れた時には大きくなり、横になったり手で押し込むと小さくなったり戻ることがあります。
膨らむ理由は、おなかの筋肉に隙間(孔)ができていて、そこから皮膚の下に腸などの内臓が腹膜をかぶったまま飛び出し膨らみます。

鼠径ヘルニアの原因

①生まれつき(先天性)

鼠径部は生まれる前に睾丸や子宮を引っ張るすじが通過するため一度筋肉に孔が開いています。この穴の部分が生まれつききれいに閉じてないとヘルニアになります。

②加齢生の変化(後天性)

筋肉が様々な原因で弱くなったり、腹圧が上がって筋肉がおなかを支えきれなくなるとヘルニアを起こします。肉体労働者、声楽家、吹奏楽器の演奏、便秘症の人、前立腺肥大症の人、咳が多い人などに多く、肥満、妊娠なども誘因とされています。

鼠径ヘルニアの症状

鼠蹊部の膨らみや違和感、不快感、時に痛みを伴う。
立っていたりお腹に力を入れたり、歩いていると飛び出てくるが、横になると膨らみが消えるといった症状が特徴的です。
また、鼠径部ヘルニアの約10%でかんとん(嵌頓)といって飛び出した内臓が戻らなくなる症状が起こることがあります。嵌頓すると内臓に血流がいかなくなり内臓壊死(腐ること)を起こす可能性があります。膨らみが戻らなくなり激しい痛みを伴います。その後おなか全体の痛みや嘔気嘔吐を認めることもあります。
嵌頓した際はすぐに救急車を呼ぶようにしてください。早期治療により壊死を防げる可能性があります。

鼠径ヘルニアの治療

治療は手術しかありません。自然に治ることがない病気です。
放置しているとだんだん大きくなり、男性の場合は陰嚢(いんのう)まで膨らむこともあります。
手術はメッシュと言われる人工物を鼠径部に挿入し、筋肉の孔を閉じてくる手術が一般的です。(ただし、小児や若年者ではメッシュを入れず縫合閉鎖だけのこともある)
手術は鼠蹊部に5〜6cmほどの切開を置いて行う手術(鼠蹊部切開法)と腹腔鏡手術があります。現在腹腔鏡手術が増えています。
また当院では高度医療としてロボット支援下での手術も導入しています。(適応は限られています)
術式に関しては既往歴や患者さんの希望等確認し、相談しながら決めています。

臍ヘルニアとは

お臍の部分が飛び出る病気です。(俗に言うでべそのこと)
お臍はもともと筋肉が弱く、そこから皮膚の下に腸などの内臓が腹膜をかぶったまま飛び出したものです。

臍ヘルニアの原因

① 生まれつき(先天性)

生まれつきお臍の部分が弱く、そこがでべそとなる。
2歳までに90%は自然治癒する。

② 後天性

肥満や妊娠・腹水(肝蔵障害や癌等によりお腹の中に水がたまること)などで、腹腔内の圧が高くなることにより弱い臍部分から皮膚の下に腸などの内臓が腹膜をかぶったまま飛び出す。

臍ヘルニアの症状

お臍部分の膨らみ(いわゆるでべそ)。
臍ヘルニアではかんとん(嵌頓)といって飛び出した内臓が戻らなくなる症状が起こりやすい。
嵌頓すると内臓に血流がいかなくなり内臓壊死(腐ること)を起こす可能性があります。膨らみが戻らなくなり激しい痛みを伴います。

臍ヘルニアの治療

子供であれば2歳までに自然に治癒することがほとんどですが、大人は自然に治癒することはなく治療法は手術しかない。
手術は穴が小さければ縫合閉鎖(左右の腹直筋を糸で寄せてくる手術)が可能だが、穴が大きい場合にはメッシュと言われる人工物を入れて弱いところを補強してきます。
大半は縫合閉鎖で治療が可能です。
傷はお臍部分に数cmで、手術当日〜翌日には食事も食べれますし歩くこともできます。

腹壁瘢痕ヘルニアとは

腹部手術の合併症で、お腹の手術の傷の部分の筋肉が弱くなり、そこから皮膚の下に腸などの内臓が腹膜をかぶったまま飛び出し膨らむ病気です。

腹壁瘢痕ヘルニアの原因

腹部の手術で傷を閉じてくる時には腹壁(筋膜や腹膜)を縫ってきます。
しかし、何らかの原因(低栄養、感染、糖尿病等の併存疾患、元々筋肉が弱い等)で筋膜の接着が弱くなってしまうことがあり、そこに隙間ができ、皮膚の下に腸などの内臓が腹膜をかぶったまま飛び出し膨らみます。

腹壁瘢痕ヘルニアの症状

お腹の傷に沿って膨らみが見られる。立っているときやお腹に力を入れているときに飛び出しやすく、横になっていると戻りやすい。
膨らみ以外の症状は起こりにくいですが、違和感や痛み、便秘等の症状が出ることもあります。
かんとん(嵌頓)といって飛び出した内臓が戻らなくなる症状が起こる可能性はありますが、他のヘルニアよりは起こりにくいです。
嵌頓すると内臓に血流がいかなくなり内臓壊死(腐ること)を起こす可能性があります。膨らみが戻らなくなり激しい痛みを伴います。

腹壁瘢痕ヘルニアの治療

自然に治ることはなく、治療は手術しかありません。
手術は穴が小さければ縫合閉鎖(筋膜を糸で寄せてくる手術)が可能だが、穴が大きい場合にはメッシュと言われる人工物を入れて弱いところを補強してきます。
腹壁瘢痕ヘルニアの場合は穴が大きいことが多く、メッシュを入れてくることも多いです。

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